当店の書棚から、ちょっと面白い本を選んでご紹介します。
左メニューにリストアップした書名をクリックすると、バックナンバーをご覧いただけます。

MANUAL OF INSTRUCTIONS FOR ETANT DONNES

1987年にデュシャンの生誕100年を記念して、フィラデルフィア美術館から出版された、通称「遺作」の組立マニュアルです。

ETANT DONNES

「遺作」は正式名を「Étant Donnés: 1° La Chute D'eau 2° Le Gaz D'éclairage」(1.落ちる水、2.照明用ガス が与えられたとせよ)といい、デュシャンの死後、遺言にしたがってフィラデルフィア美術館で公開されるまで誰もその存在に気がつかなかったという、いかにもデュシャンらしいエピソード付きの作品です。世間には隠居して毎日チェスばっかりやっていると思わせておいて、20年間も全く秘密裏に作りつづけ、死の2年前には完成していたということですから、いわば完全犯罪ですね。

マニュアルの原本は、ニューヨークのアトリエに組立てられていた「遺作」を解体して美術館まで運んで再び組立てるために、デュシャンが生前に作成していたもので、仕掛けを撮影したポラロイド写真や図面などを収めた、4穴のクリアファイルの各ページに手書きのメモがテープで貼り付けられています。
この本は、その原本を見開きごとに複写して、そのまま印刷・製本した、ちょっと変わった本です。写真だとファイルそのものに見えますが複写です。メモの裏側の文字が透けて見えていたり、写真をとめているクリップや見返しの広告もそのまま印刷されています。デュシャンが生前につくった、制作メモの複製や自作のミニチュアセットなんかの作品と比べると、作り方がかなり大雑把という気もしますが、コストの問題もあるだろうし、これはこれで面白さもあります。黎明期のWEBデザインでは、よくスパイラルのノートとかスケッチブックのイメージをページのメタファーとして使っていましたね...。

▼写真を止めているクリップもそのまま
ETANT DONNES

ETANT DONNES
見返しに貼られたクリアファイルの広告もそのまま▲

■商品情報:

B00494

MANUAL OF INSTRUCTIONS FOR ETANT DONNES

Marcel Duchamp  Philadelphia Museum of Art 1987年 サイズ:270×305状態:美本 ■「遺作」内部の写真を掲載した冊子(4ページ、英語)がついています。
■1987年に、マルセル・デュシャン生誕100周年を記念してフィラデルフィア美術館から出版された「遺作」の解体/組立マニュアルの複製。
30,000円

UP